コラム

2017-12-04
意思能力制度について

日常生活において物を買ったり(売買契約)、他人に物を賃貸したり(賃貸借契約)するには「意思能力」が必要です。意思能力とは、自分の行為の結果を判断するに足りるだけの精神能力を意味し、意思能力が備わっていなければ、その契約は無効になります。例えば、認知症の人が複雑な不動産取引を行う場合、取引の内容及び結果等を十分に理解する能力がなければ、取引は無効になります。
現行民法には「意思能力」に関する規定はありません。これは、現行民法では、当然の原理原則は規定しないという方針が採用されたことによるものです。
今回の民法改正では、「国民一般に分かりやすい民法」という観点が改正の柱の一つとされましたので、後記の通り、意思能力に関する規定が明文化されました。
 なお、高齢者等の意思決定を支援し、また、権利を保護する制度として成年後見制度があります。

(改正民法3条の2) 
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

弁護士 久岡秀行

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