コラム

2018-02-16
法定利率の改正

法定利率は、法律により定められている利率のことです。現行民法では年5パーセントと規定されています。
他方、約定利率は、当事者の契約により定められる利率のことです。

 

銀行預金の利率には約定利率が用いられており、法定利率とは異なる利率が設定されています。日本銀行の公表するデータによると、銀行預金の利率は、法定利率よりはるかに低い利率が設定されています。

 

法定利率と市場金利の間には乖離が大きく、法定利率の改正の必要性が指摘されていました。
そこで、今回の民法改正により、法定利率の規定が改正されました。主たる改正点は下記の通りです。
1 法定利率を年3パーセントに引き下げる。
2 年を一期として、一期ごとに法定利率を改める。
3 商事利率(年6パーセント)は廃止する。

 

以上の改正により、法定利率が市場金利に近づくことにはなりましたが、実務には大きな影響が予想されます。まず、年5パーセントでの遅延損害金(遅延利息)を請求することができなくなります。他方、交通事故等に遭われた場合には、逸失利益(将来得られた利益を失ったことによる損害)の請求額が増加することが予想されます。

 

以上は、改正民法施行日(一部を除き、平成32年6月2日までに施行)からの運用になりますが、その後も、3年ごとに法定利率の変動状況に注視する必要があります。

 

弁護士 久岡秀行

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