コラム

2018-07-23
民法の相続に関する規定(相続法)の改正について

 昨年の民法の一部を改正する法律の成立に続き(債権法改正)、平成30年7月6日、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が成立しました(相続法改正)。改正相続法は、段階的に施行され、2020年7月までに全て施行されます。
 改正法の骨子は、以下の通りです。
(1) 配偶者の居住権を保護するための方策
(2) 遺産分割に関する見直し等
(3) 遺言制度に関する見直し
(4) 遺留分制度に関する見直し
(5) 相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直し
(6) 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

 

 上記(1)「配偶者居住権」と(6)「特別の寄与」については、今後の実務に大きな影響を及ぼすことが予想されます。

 

(配偶者居住権について)
 被相続人の遺産が預金と居宅の場合、従来、配偶者は、居宅を取得する代わりに預金をわずかにしか取得できない事態や(生活費への不安)、或いは、居宅を売却せざるを得ない事態(住む場所への不安)が生じていました。
 今回の法改正により、配偶者に居宅の使用を認める法定の権利が新設されました(配偶者居住権)。
 ただし、配偶者居住権が成立する為には、一定の要件を充足し、手続を履践する必要があります。

 

(特別の寄与について)
 相続人以外の親族が、被相続人の財産の維持又は増加に一定の貢献をした場合には、相続の開始後、相続人に対し、その貢献に応じた額の金銭を請求することができるようになりました。

 

 本改正により新設された権利を取得し適切に行使する為には、実際に相続が発生する前から予め準備しておくことが大切と思います。
 相続が発生してからご相談を受けることも多いですが、相続が発生する前に、少しでもご不安を感じた時点で、お気軽にご相談いただければと思います。

 

弁護士 久岡秀行

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