コラム

2019-03-27
離婚原因慰謝料と離婚慰謝料

先日、最高裁判決が出た!と騒がれた、不倫(離婚原因)慰謝料と離婚慰謝料。何が違うの?

離婚原因慰謝料とは、不倫や暴力等、離婚の原因となった事実により被った精神的苦痛などに対する慰謝料です。「浮気の慰謝料」とよくいわれているものです。

離婚慰謝料とは、本当は離婚なんてしたくなかったのに、自分は悪くないのに、夫(妻)の不倫や暴力などにより、離婚せざるを得なくなったことに対する慰謝料です。

夫(妻)の浮気が原因で離婚することになった場合には、離婚原因慰謝料と離婚慰謝料の両方が発生することになります。ただし、金額が倍になるというわけではなく、「離婚の慰謝料」という形で、通常は請求します。

夫(妻)の不倫相手に対しても、両方の慰謝料を請求することができるか、という点について判断されたのがこの間の最高裁判決です。不倫の慰謝料(離婚原因慰謝料)を請求することができるのはご存知のとおりですが、最高裁は、「離婚は夫婦間で決めるべき事柄」であるとして、「離婚慰謝料」については不倫の相手方に請求できないと判断したのです。両方の慰謝料を請求しても金額は倍にならない、のであれば、離婚原因慰謝料が請求できれば通常問題はないのですが、今回は消滅時効との関係で、離婚慰謝料として請求する必要があったため、この2つの慰謝料の違いが話題となったのです。

浮気発覚、すぐ離婚決意、不倫相手にも請求、の場合には、慰謝料の違いや、消滅時効のことなど気にする必要はありません。浮気発覚、離婚を迷い数年経過してから決意、そこから不倫相手にも請求、という場合には今回の最高裁の事例と同じ問題が生じる可能性がある、ということだけ頭の片隅置いておいてください。

弁護士 明司絵美

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