コラム

2020-06-24
養育費と破産

 

自己破産したら、養育費は払わなくていいのでしょうか?自己破産とは、抱えている借金を一旦きれいにして生活を立て直すための制度です。養育費も、相手に対し支払い義務を負っているという点では借金と同じで、破産により支払わなくてよくなる、と考える人がいるのは当然です。

 

しかし、養育費(滞納分も含む)や離婚のときに決めた慰謝料の支払い義務は、破産によってもなくなりません。これらは破産の際の「非免責債権」と呼ばれるもので、免責(支払い責務が免除される)されないからです。

 

ただし、自己破産しよう、というからには、経済状態が良くないことは間違いないでしょう。そこで、受取る側が強制執行で回収しようとしても、支払い義務者側に資産がなく、仕事にも就いていないため、回収できない、という事態になる可能性は大きいです。支払い義務者が生活保護を受給し始めた場合には、給料のように生活保護費が支払い義務者に支払われる前に強制執行で差し押さえることはできず、一旦支払われ、口座に入ったお金を差し押さえることになります。差押えするまでにお金を引き出してしまわれたら回収はできなくなります。

 

このように、残念ながら養育費というものは、決めたからといって絶対にもらえるものではありません。離婚後、子供を抱え、経済的に不安定な状態に陥らないよう、できるだけ養育費はあてにせず、離婚後の生活設計を考えて離婚を決断するようにしてください。我慢のできない夫婦生活を続ける必要はありません。ただ、離婚後のリスクも踏まえた上で、自分にとって一番いい道を選んでください。

 

弁護士 明司絵美

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