相続や売買等によって、土地、不動産を取得することがあると思います。
建物は、老朽化等により滅失してしまった場合、それに伴い、その建物に対する所有権も消滅します。
他方、土地の場合は、「滅失」するということは考え難く、現行民法上も、土地の所有権が消滅する場面は想定されていません。
所有している土地が要らなくなった場合、その土地の所有権を「放棄」することはできるでしょうか。
土地を捨てるなんてもったいないと思われるかもしれませんが、土地を保有し続けることで固定資産税がかかり、また、その土地で他人が怪我をしてしまった場合には、土地所有者には損害賠償責任が発生することがあります。
また、活用できる見込みの乏しい土地を放置しておくと、複数の相続の発生により、無用な紛争が発生してしまう危険もあります。
しかし、現行民法上、土地所有権を放棄する規定はなく、現状、土地所有権を「放棄」できるかどうか明確ではありません。
昨今、管理不全の土地や所有者不明の土地が増加しており、土地所有権の放棄の制度の新設に向けて議論が進んでいるところです。
弁護士 久岡秀行
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