コラム

2020-12-30
民法改正(共同相続における権利の承継の対抗要件)

民法改正により、相続により、法定相続分を超えて権利を承継した場合、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないこととなりました(改正民法899条の2)。

例えば、被相続人である父親が死亡し(母親は既に亡くなっている)、相続人が長男と二男の2人であり、遺産等して自宅(土地と建物)があったとします。

この場合において、被相続人は自宅を長男に全て相続させる旨の遺言を残していました。

しかし、二男が勝手に、自宅について、法定相続分(2分の1)での共有登記をした上で、それを第三者に売却してしまいました。

このケースにおいて、長男が自宅について、相続を原因とする登記をする前に、第三者が先に登記をしてしまうと、長男は法定相続分(2分の1)を超える部分について、第三者に対抗することができないことになります。

民法改正前は、長男に全て相続させる遺言等があれば、上記第三者にも対抗できるとされており(最判平成14年6月10日判時1791号59頁)、登記をせずに放置するケースもありましたが、今後は、なるべく早く登記をしておく必要があるので注意してください。

弁護士 壽 和哉

 

 

 

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