近しい親族が亡くなり相続が発生したけれど、故人には財産は殆どなく、売却困難な土地建物のみがある場合、当該不動産について処理未了の状態で放置されているケースがあります。
放置しておくとどうなるか。
最初は若干名であった相続人が、時が経つにつれて徐々に増えていき、気が付けば10人を超える状態になっていたということもあります。
相続人の範囲が広がると、名前も聞いたこともない親族が相続人になっていることもあります。
また、相続人の高齢化により、認知症を患っておられる方がいると、当人が相続手続をすることができません。
後見人を選任する必要がある等といった事態も生じます。
更に、処理未了の場合でも、空地や空家の法的な責任の所在は相続人全員にあります。
空地の木が越境していたり、子どもが空家で怪我をしてしまった場合には、相続人全員がそれらの責任を負わなければならない事態も有り得ます。
以上の通り、相続不動産の処理未了については、時が経つほど、経済的コストやリスクが増えるばかりです。
また、現在、相続未了土地に関する法改正の議論が進められており、相続不動産の登記手続が義務付けられ、義務違反の場合には過料が科せられることになる可能性もあります。
相続不動産については早目の処理(遺産分割や売却など。)がおすすめです。
弁護士 久岡秀行
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