コラム

2022-12-13
親族法の改正について

1 概要

令和4年12月10日、民法の親子法制に関する部分について改正法が成立しました。

改正法は、令和6年夏までに施行予定です。

 

重要な改正ポイントは、次の通りです。

 

 

2 嫡出推定規定の見直し

現行法では、離婚後300日以内に生まれた子については、「前夫の子」に推定されるとされています。

 

上記の規定は、明治の時代に制定されました。

当時はDNA技術もなく、新生児が誰の子か分からなくなることを避ける為に、離婚後300日以内の子は

「前夫の子」と推定するのが相当とされていました。

 

しかし、今ではDNA技術も発展し、同技術を用いることによって、誰の子か判断することが可能です。

 

また、上記規定があることによって、不具合も生じていました。

即ち、離婚後、再婚相手との間に子が生まれた場合でも、それが離婚後300日以内のときには、

「前夫の子」として扱われてしまう為に、出生届を出すに出せないというケースが多くありました。

その結果、子どもは無戸籍の状態になってしまいます。

 

そこで、この度の改正法において、「婚姻関係を解消した後、300日以内に子が生まれた場合で、

その子が再婚後に生まれた場合は、「再婚後の夫の子」と推定する。」との規定に改められました。

但し、再婚が「事実婚」の場合には、従前の通り、「前夫の子」と推定されるので、改正としては

十分とはいえない部分もあります。

 

 

3 再婚禁止期間の撤廃

また、上記改正に伴い、女性に離婚後100日間の再婚を禁じた規定も廃止されました。

 

 

4 今後の親族法制

現行法では、子どもがいる夫婦が離婚をした場合、その子の親権は、「単独親権」とされています。

協議又は審判等により、子の親権者を母又は父のいずれか一方に定めます。

 

現在、法制審議会では、離婚時の子どもの親権について、父母双方が持つ「共同親権」の制度を導入

するか否かについて議論を進めています。

 

親族法は、財産法とは異なり、個々人の生き方や人生に直結する問題です。夫婦関係や子どもの親権等

についてお悩みの方は、いつでもご相談ください。

 

 

弁護士 久岡秀行

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