夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
民法に定められた規定(752条)を根拠に、夫婦の一方に重い責任が課されることがあります。
認知症の夫を家に残して妻が外出している間、夫が火事を起こしてしまい、隣の家に延焼したという事案で、大阪地方裁判所は、妻の責任を認める判断をしました(平成27年5月12日付け判決)。妻は、妄想による言動が見られた夫が異常な行動をしないか注意深く見守る義務があり、夫を残して外出したことに重い過失が認められるという理由です。
過去にも、徘徊症状がある認知症の男性が電車にはねられて死亡した事故をめぐり、同居している妻が鉄道会社に対して損害賠償義務を負うとした裁判例があります。
これらの裁判例に対しては、認知症患者の家族に過酷な責任を課すべきでないという批判もあるようですが、重度の認知症患者を抱えておられる方にとっては、十分な注意が必要です。
弁護士 船倉 亮慈
Copyright © ZEN法律事務所 All right reserved.